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   そのまま鳳はズボンのフロントを緩めると、宍戸の下肢を両手で持ち上げるようにし、

   開かれた恋人の秘所へ楔を差し入れた。
ろくに慣らしていないので、粘膜が引きつれる

   ような抵抗があったが、鳳はかまわずに腰を激しく使った。


   「ひいいいッ! 」

   宍戸は、細い悲鳴をあげると、歯を食いしばって堪えていた。鳳が動くたびに、身体が

   ギシギシと軋み、全身の骨が砕けそうだ。


   体のずっと奥地まで刺し貫こうとする鳳のペニスは、どこまでも貪欲に中を進んでいる。

   「ああ、もう無理。駄目だ。そんな……。」

   もう、それ以上は受け入れられない最奥を突かれている……そう宍戸は思った。

   しかし、鳳は、彼の右下肢を肩に担ぐようにし、さらに腰を深く入れてきた。


   「うわああああ〜! もう、裂けるッ! 」

   宍戸の下腹部は、ギチギチに押し広げられていた。慣らしていない筋肉は硬い。

   その部分を無理にこじ開けるようなセックスは辛いだけだった。


   今まで、鳳に、こんな乱暴な扱いを受けた事は、一度も無かったように思った。

   初めて身体を合わせた時も、痛みでうめいている宍戸の背をずっと優しく撫でてくれた

   鳳だったのに、今は、苦痛であげる悲鳴すら聞いてくれない。


   「もう、止めッ! 長太郎ッ! 」

   頬に涙を溢れさせた宍戸にかまわず、鳳は、ひとしきり激しく腰を揺すると、熱い迸りを

   爆発させた。
宍戸の温かな粘膜の中で、川の流れのように液体は進み、尻から

   溢れ出したモノが澄んだ海の水を白く濁らせた。


   「はあ、はあ。まだ……ですよ。宍戸さん。貴方には、俺が必要な事を教えてあげます。

   俺と離れたら死んでしまう……そのくらい気持ち良くしてあげます。俺を忘れないように、

   身体中で感じさせてあげます。一生、誰にも身体を見せられないくらい印を付けてあげます。」


   そう言って、鳳は、宍戸の肩に歯を何度も強く当てた。それから、赤い筋のような噛み跡が

   入った箇所を念入りに舌で清めた。


   痛みで泣き声をあげる宍戸の口唇へも、その熱い舌を這わせたのだった。



                           ★



   海で冷えた身体を温めるため、鳳は、宍戸を抱き上げて林の中へ入った。

   海の中で、一時間もかけて宍戸をじっくりと抱いた。


   前戯が無かったせいで、下腹部が痛むのか彼はずっと泣いていた。しかし、最後は

   自分から下肢を絡ませて、腰を妖しく揺すり、海水の中で射精したのだ。


   この淫蕩な身体は、自分のためだけのモノだと思いたい。

   もし、自分以外の人間が、彼を抱く事があったら。

   気が狂うのに違いない。

   それほど、彼の事が好きだった。

   どうして、宍戸は、そんな自分から離れたいと思うのだろうか?

   愛し方が足りないのだろうか?

   どういう愛し方をしたら、宍戸は満足するのだろうか?


   鳳は、意識の朦朧としている宍戸を草の上に寝かせると、濡れた自分の衣服を乱暴に

   脱ぎ捨てた。
その時に、手に握ったベルトで宍戸の両手を後ろ手に縛った。

   きっと、意識が戻った彼は、同じように走って逃げようとするのに違いない。


   鳳は、自分にまるで自信が持てなかった。

   宍戸に本当に愛されているのか、時々、不安でたまらなくなるのだ。

   宍戸に何かしてあげたい。でも、何をすれば良いのか、鳳には、まるでわからなかった。

   彼が空腹なら高級レストランでの食事をエスコートしたし、自宅のテニスコートも彼の望む

   ようにナイター設備にしたし、彼の好きな海外メーカーのラケットを特注して試合の前に

   プレゼントした……でも、宍戸は喜んではいない。


   それは、鳳にも良くわかっていた事だ。伊達に一年の時から、彼を好きだったわけでは無い。


   宍戸は、金や物には、全く執着していない。


   そんな事で、物事の価値を計る人では無い。


   だから、毎日、彼に愛を囁いて、少しでも時間があったら彼とセックスをしたのだった。


   抱いている時だけ、宍戸は、自分の方を見てくれている。

   彼が、自分だけの物だと実感できる。


   それが、独りよがりの錯覚でもだ。






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